インナースペース - 明るい
ホウ・ショウ・カン
日本和文化グランプリ2023 優秀学生賞
50×50×55mm
材質:銀、銅、赤銅、四分一(日本の銅合金)
技法:金属象嵌
仏教用語に「一花一世界」(一輪の花はそれ自体が一つの世界である)という言葉があります。小さくて見過ごされがちなものでさえ、それ自体が一つの世界となり、強い生命力と固有の価値を秘めているのです。私は飾りのない石の形をした箱を制作しました。箱を開けると、草や星空が広がる空間が広がります。石は、私たちが価値を感じないありふれたものの象徴であると同時に、風や草のように、世界に生き生きと存在し、独自の個性を持つ石でもあります。
金属象嵌:日本語では「象嵌」とも呼ばれ、金、銀、銅などの金属を別の金属物の表面に挿入する伝統的な技法です。
厚みのある半透明のガラスに漆絵の具を擦り付けることにより、意図した柔らかな光と奥行きを表現できると考えています。
——藤田和

私は箱の内側と外側を二つの異なる世界として思い描き、シンプルさと複雑さ、つながりと孤立、外見と本質の対比を考えながら作品を制作し続けました。
【書評】練馬区立美術館館長 秋元雄史
銀、銅、四分一などの合金を用いた金属工芸作品「Inner World - Daylight」。異なる金属を象嵌(ぞうがん)という技法を用いて模様を刻む技法を用いた傑作です。外箱と内箱からなる箱型のフォルムは、「Inner World」というテーマを表現しています。
実は、「Daylight」と対をなす作品として、「Inner World - Night」という作品があります。「Daylight」の明るいシルバーのトーンとは対照的に、「Night」は銅を基調としたよりダークな色調が特徴です。また、「Night」は「Daylight」の約2倍の大きさです。作品のタイトルや形式を考えると、ペアで鑑賞した方が分かりやすいでしょう。
「Inner World」とは、タイトルからもわかるように、箱を開けた時に現れる世界観を指します。外箱のある世界と内箱だけの世界を分けることで、内なる世界と外なる世界、つまり現実と想像の二面性、物事の表裏を象徴しています。内箱だけの状態を「Inner World」と呼び、タイトルの通り、ある種の心理的な風景を描き出しています。外箱は岩に似せて硬く不変な世界を、内箱は色とりどりの植物で満たされ、生命力に満ちた世界を象徴しています。
伝統的な象嵌技法の魅力を引き出すだけでなく、さらにその技法を高めて自身の世界観を表現しているのが作家の腕の見せ所です。
金属芸術家として、私は創作過程において何千年もの間存在してきた技法の繊細さにしばしば驚かされます。
こうした伝統的な技法や色彩をより多くの人に伝え、金属アートを日常生活に取り入れてもらいたいと考えています。
——ホウ・ショウ・カン
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