室門 耕一郎
アーティスト紹介
1949年創業、京都金閣寺から車で5分ほど北西に進んだ場所に有限会社綵巧の本店があります。
三軸組織(さんじくくみおり)織元 西陣織織元の綵巧が作り出す独自の「京くみひも・三軸組織」は、西暦700年代に京都において誕生したと伝えられる「京くみひも」の技術と、イタリアのトーションレースの技法との融合によって生まれた織物です。
「組み」という”技”を起源としているその技法は、奈良時代(700年代)に、経典を保管する組紐や貴族の正装の装飾品に珍重されておりました。それらの品々は、現在も正倉院や法隆寺の宝物館、安芸ノ宮島厳島神社等に大切に収蔵されております。
また三軸組織を織りなす大型環状織機は、直径約5メートル 高さ約5メートルの巨大な織機です。「通常の織物では、縦方向のみに約10kgまでのテンションをかけて織り上げるのに対し、三軸組織は円形織機なので360度全方向に約200kgのテンションを均一にかけながら組み上げて作られます。それによって、伸縮性が生まれ、帯地として緩みにくい特徴が出ると室門氏は言います。
真っすぐな”たて糸”に対して、二方向からの”たて糸”が斜め四十五度の角度で交差するという複雑な技法で織り上げられるその特徴は、斜め組織により緩まず、シワにもなりにくく、複雑に交差した糸によって光の屈折が生まれ、独特の光沢を放ちます。また、多彩な色糸を使用することで、微妙なグラデーションを表現できることも特徴です。
制作工程では、織りよりも準備に時間がかかります。1台に480あるボビンに、すべて同じ長さの糸を10本巻きますが、その中の1本でも緩んだらすべてがダメになるので、細心の注意を払いながら何百メートルも巻く。これに3週間かかります。糸は純国産の正絹100%を使用し織機にセットされた糸を、4人がかりで1日で織り上げます。
織機は天気で変わる絹糸の状態人の手による管理の対応が最も難しく、斜め織りは糸を動かす時の摩擦が大きいため、特に冬場は静電気に注意必要な為、京都で最も霧が多いことで有名な亀岡を生産地として選び、湿度の高い環境下で製織作業をおこなっています。
三軸組織を作り出す大型環状織機は、約50年前に京都西陣の先人が正倉院に残る組み帯を、現在の約30センチ以上の帯巾で復元することを目的として開発されました。当初6台の大型環状織機が製造されましたが、現在、可動する機械は綵巧が保有する2台のみです。大型環状織機は、日本の織物産業発展の足跡を証明できる貴重な歴史的遺産としての価値があります。
今後の課題は、大型環状織機を用いる三軸組織は世界で綵巧しか生産していないため、問題が発生した際、自社で対応するしかなく、部品の調達もままなりませんが、「何としてでもこの技術を維持し、後世に伝えていかなければならない。歴史的遺産を後世に残していくために、着物だけにとどまらず、三軸組織は様々な製品との新しいコラボレーションを模索必要がある 」と室門氏は言います。
メッセージ
「唯一無二のモノづくり」をモットーに8名の職人と共にモノづくりを行っています。三軸組織、西陣御召、和装裂地、唐緒緞通、織金彩と様々な製品を手掛けることにより、独自の製織体制の構築に成功し現在は若手育成に力を注いでおります。これまで培われてきた技術を後世に引き継いでいけるよう日々研鑽するなかで、私なりのアレンジにて製織される弊社の生地素材は、その独自性と多様性により高評価を頂いております。絹糸の綾なす弊社独自の風合いをお楽しみ下さい。
プロフィール

アーティスト名
室門 耕一郎
会社名
有限会社 綵 巧
活動エリア
京都西陣
2005年 伝統産業奨励賞受賞
2013年 独自で保有する“大型環状織機”で製織される「三軸組織」を商標登録
2019年 第一回京都インターナショナルギフトショーに出展
KBS京都「京bizX」出演、小学館「サライ」京都商工会議所「京Business Review」掲載
2020年 「知恵の経営実践モデル企業」として京都府HPにて掲載
経済産業大臣指定伝統的工芸品 西陣織製織部門伝統工芸士 認定
京都中小企業優秀技術賞 受賞
2021年 第一回日本和文化グランプリ優秀賞受賞




