樫木01
百瀨 聡文
日本和文化グランプリ2023 優秀賞
Φ220mm×120mm
材質:ヒノキ
技法:挽物・曲げ木
木工ろくろや木工旋盤で木材を回転させながら削り落とし、形を創り出す挽物技術を用いて製作しました。
挽物技術の特徴である削り落とした蓋部分と曲げ木の技術を利用する事で深さがある菓子器が完成。
普段はお菓子を入れて保存し、急な来客が来た時には蓋をお盆にしておもてなしをすることができます。

このKASHIKIシリーズは、今では使わなくなった手作りの丸棒カンナを使う事や他の技術を融合させることで、伝統挽物技術の弱みを新しい挽物技術の可能性に繋げる事ができました。
この新しい挽物技術の可能性で制作した菓子器は、今後大きさを変える事で現代と未来まで残る普段使いの生活用具達となることを期待しています。
【書評】衿川史江
横浜美術館 開発部 副部長
日本の「菓子器」という固定観念から解放されたような高さ(奥行き)を持つ木製の器。作者は、この作品を「KASHIKI(菓子器)」と名付けた意図として、日本の文化的アイデンティティを守りつつ、日本人に限らず多様な人々がこの器と自由に関わり、その可能性を探ってほしいという願いがあったのではないかと推測します。
ろくろ削り、鉋削り、曲げ加工といった工程を経て制作されるこの作品は、熟練の職人が代々受け継いできた木工技術によって磨き上げられた、それぞれ異なる美意識を持つ2種類の蓋付き器を展示しています。一つは、蓋と底を「鑢(のり)」で削り、口縁を「曲げ」で優美な曲線を描く、洗練されたデザインです。「鑢」と「曲げ」という技法を実験的に融合させながらも、自然な仕上がりはそのままに、滑らかで清らかな手触りを堪能できます。
もう1点は、細身の「丸棒」を支柱とした籠のようなフォルムを呈しています。器の内外は明確に区切られながらも、光と風が通り抜けることで、清涼感あふれる空間が生まれています。丸棒はわずか3ミリという薄さでありながら、専用のフライス盤を用いた緻密な加工が施されているためか、存在感を放っています。「曲げ」によって軽やかさが感じられ、「丸棒」によって重厚感が感じられるのが興味深い点です。
さて、この二つの器には何を収めるのでしょうか?「曲げ」の隙間に、あなたは何を繊細に収めるのでしょうか?「丸棒」の隙間から、さりげなく何を発散させるのでしょうか?美しく、多用途に使えるこれらの器は、様々なライフスタイルに自然に溶け込み、驚くべき適応力を発揮します。このアート作品が、誰かの手にどう寄り添うのかを想像するのは、実に楽しいものです。
真の職人とは、高品質な製品を一つ作るだけでなく、何十、何百、あるいは何千と作り続ける人だと私は信じています。そして、それがお客様の手に渡った時、それはお客様にとって唯一無二のものとなるのです。
だからこそ、私は常にその考え方を持ち続け、日々、職人技の卓越性を目指して努力しています。
——百瀨 聡文
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